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​日本とアメリカ ─ 健康に対する価値観の違い #2/2

 

​​アメリカが抱える高額な医療保険と並んで大きな社会問題となっているのが『肥満』です。むしろ肥満が原因で医療費が高騰しているといっても過言ではないくらいです。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)による最新の調査では、アメリカでは成人の5人に2人(人口比40%)が肥満だそうです。CDCやWHO(世界保健機構)では、体格指数(BMI)が30以上の人は肥満と定義されます。

 

BMIは[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値で、体格を表す指標として国際的に用いられている指数です。計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なり、日本肥満学会の基準ではBMI 25以上を肥満と定義しています。また、18.5未満は「低体重」(やせ)に分類されます。

アメリカに例えて言うと、身長175cmの男性なら体重92Kg、身長161cmの女性なら体重80Kgで、BMIがおおよそ30を超えます。アメリカでは40%の成人がこの基準を上回っていると言うことになります(それぞれアメリカの成人男女の平均身長)

肥満者が人口に対して4割もいるアメリカは、日本と比べ差し迫って運動をしているように思います。例えば、フィットネスクラブなどへの登録者は、2018年の統計によればアメリカ 18.68%に対し、日本は3.35%です。日本のこの参加率は30年間ほとんど変わっていません。

肥満は様々な形で健康に悪影響をおよぼします。血圧が上昇し、アテローム性動脈硬化(余分なコレステロールがたまって血管が狭くなったり詰まったりする状態)を引き起こして心臓発作や脳卒中、心不全を招きます。アメリカでは心疾患が依然として死因の第1位です。


さらに肥満は2型糖尿病の原因であり、2型糖尿病は腎臓病や下肢の切断、失明を引き起こします。アメリカの一部の州では肥満を原因とする2型糖尿病が広がっており、罹患率はなんと15%に上るそうです。そればかりか、肥満になるとがんの発症リスクも上昇します。乳がん、すい臓がん、甲状腺がん、肝臓がんを含む13種のがんは、肥満と関連しています。

こういった理由から「肥満 → 健康でなくなる → お金がかかる」という構図が成り立ち、アメリカではシンプルに「このままではまずい、運動しよう」となるのです。

一方で日本は少し状況が違います。アメリカの調査組織(ブリタニカ百科事典傘下)における最新の肥満率ランキングでは、アメリカ人は41.99%に対して、日本人は5.54%です。ただし、海外ではBMI 30以上が肥満基準のため、日本国内での基準(BMI 25以上)で考える必要があります。

2022年に日本の厚生労働省が調査したところ、国内20歳以上の男性で肥満は31.7%、女性は21%との結果でした。

成人男性の3人に1人、女性は5人に1人が「肥満」判定にも関わらず、それでも日本では「運動しよう」とはならないのです。なぜなら、アメリカ人が思う健康の中に登場する「エクササイズ」「フィットネス」といった言葉が日本人が思う「健康」にはないからです。

 

日本人が考える「フィットネス」や「エクササイズ」は、痩せるための「ダイエット」であったり「見た目」の変化などを意識したものが根幹にあります。また「運動=スポーツ」と捉える方も多い印象があります。

 

アメリカに限らず国や言語が違えば「健康」の定義や価値観は違ってきます。皆さんもそれぞれが自分にとっての「健康」とは何か、そのためにどうするかを考えてほしいと願います。「これが正解」と言うものはないと思っています。

 

​ナウシカの考える「健康」とは、シンプルに「心と体が心地よく満たされた状態」と考えています。​

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日本では、BMIが25以上になると肥満判定となりますが、BMIのみでは脂肪が多いのか筋肉が多いのかまでは判断できません。あくまで目安の一つとして考えておきましょう。そのため外国、特にヨーロッパでは日本同様に「体脂肪率」での判定が採用されてきています。

 

肥満の代表的な原因は、エネルギーの過剰摂取や運動不足です。特に内臓脂肪型肥満を放っておくと血管の柔軟性が失われるリスクを高めることにもつながるため、日頃から体重管理を心がけることが大切です。

そして、日本人女性は世界的に「肥満」よりも「低体重」として注目を集めています。もちろん良い意味ではありませんが。

2024/09/03

Nausicaä Pilates

Founder

​申景植

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