ピラティスの原則 #1/2
ジョセフ・ピラティスは、彼が考案した「コントロロジー(Contrology)」つまり現代でいう「ピラティス」を指導者やそのクライアントがシンプルで確実に実践できるように、エクササイズを成功に導く「6つのキー」をつくりました。
現代ではこれを「ピラティス6原則(The Six Principles of Pilates)」と呼んでいます。 原則とは、基本的な決まりや指針をいいます。
ピラティスが掲げた原則は、コンセントレーション(Concentration)、コントロール(Control)、センタリング(Center)、フロー(Flow)、プリシジョン(Precision)、ブレス(Breath)の6つです。
コンセントレーションは、集中という意味。彼は「エクササイズをするときはいつでも正しい動きができるように集中して行うこと」を強調します。また、エクササイズは意識しなくても正しく動けるレベルまで習得する必要があるとも述べています。
コントロールとは、制御する・管理するという意味。彼は「筋肉が自分自身の意思に従って動くことが理想的である」と述べており、筋の反射的な動きによって支配されるべきではなく、「意識」が筋肉をコントロールすることからはじまると述べています。
センタリングとは、中心のこと。「すべての動きは安定した体の中心からつくられる」、 彼はこの中心のことを『パワーハウス』と呼びました。パワーハウスは、横隔膜、骨盤底筋、腹横筋、多裂筋で構成され、パワーハウスを正しくコントロールすることで四肢の正しい動きを引き出すことが可能になります。
フローとは、流れのこと。「コントロロジーとは、体が猫のようにしなやかな動きとなるように、筋肉と靭帯を柔軟にし、伸ばすことである」と定義しました。そしてエクササイズの動きは優雅で流れるように、速過ぎず遅過ぎず常に一定の速度で行わなければならないと述べています。
プリシジョンとは、正確や精度のこと。彼は「エクササイズは正確に行われる必要があり、細部にまで気をつけて正しく行われるように指導をする必要がある」と述べています。ピラティスは「綺麗なポーズ」をとることよりも、より正しく、より正確に動けることが重要ということです。
ブレスは、呼吸のこと。「呼吸は生を受けて最初に行う行為であり、人生の最後に行う行為」です。当時彼は「息を吐くときは肺が真空状態になるまで、すべての息を吐き出すように」と、力強く息を吐き切る呼気と、完全に深く吸い込む吸気が大事であると主張していました。ピラティスのムーブメントはすべて呼吸と結び付けられています。
原則とは、ルールや型のようなものです。私たちピラティス指導者は国や地域、団体(流派)の違いはあれど、 この6原則を常に念頭に入れレッスンをプログラムし指導を行なっています(そのはずですし、そうあってほしいと信じたいです)。
多くの団体それぞれにフィロソフィーはあれど「ピラティス」を行なっている限りはこの「6原則」を基本の指導指針としています。今はより現代的にブラッシュアップされた「10原則」(6+4)があります。