ピラティスの原則 #2/2
ピラティスの原則は、ピラティスを実践する上で基本となる大事な指針のようなものです。 原理や原則を無視したり軽んじることは、本来目指すものや効果という自分が決めたゴールへ辿り着けない原因となります。
ピラティスやウエイトトレーニングには運動の指針となる科学的な根拠があります。それをしっかりと守って実践すれば必ず効果や成果があるということです。同時にその原理原則は皆さんの大事な体を守ることにもなります。
ピラティスは「ピラティスの原則」を意識し能動的に取り組むことで成長の度合いに大きく差が生まれます。ピラティスが「動く瞑想」や「インテリジェント・エクササイズ」と呼ばれる所以がここにあります。
私のピラティスのバックボーンは 米国 BASI PILATESですが、 BASIにはより近代的にブラッシュアップした 「10の原則(BASI PILATES 10 Principles)」があります。
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Awareness / 意識すること、気づき
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Breath / 呼吸
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Balance / バランス
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Concentration / 集中
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Center / 中心
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Control / コントロール
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Efficiency / 効率性
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Flow / 流れ
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Precision / 正確であること
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Harmony / 調和
私は、この「10の原則」はピラティスを行う時にはいつも心の中に存在させ、体の隅から隅まで伝えるものと教えられました。「10の原則」を軽んじて行うピラティスはピラティスではないとも。
ジョセフ・ピラティスが目指したのは「心・体・精神」の調和です。そのため「10の原則」には、体の動かし方だけではなく心や精神についても触れられています。
「10の原則」は単に体を鍛え、健康へと導くだけではありません。今の生活がこのままでいいのか、自分の心にも問いかけてくれます。今の時代は、仕事や育児、介護、人間関係など「自分以外のこと」に必死になりすぎて心や体が悲鳴を上げているのにも気づかず、気づいていても無理に蓋をして頑張り続けているという方が多いと感じます。
体や心の限界を超えると、体の調子や心のバランスが崩れて病気になります。それが深刻な状態であってもあえて隠して、まだ大丈夫と信じ込んだり、仕方ないと諦めたり、そしてさらに無理を続ける。そうやって心と体が取り返しのつかない状態、悔やんでも悔やみきれない状態の人をたくさん見てきました。
しかし、ピラティスを始めることでそういった体や心のサインに気づき、心と体の調和を再び取り戻したという方も少なくありません。決して大袈裟なことではなく、体からのサインはとてもシンプルです。「なんか今日はうまく動けないな」「いつもより体が重い感じがする」「集中できない」、心と体はとても素直に教えてくれます。それをどう感じ取り応えるか、です。
だから「10の原則」はまず気づきから始まり、バランスや集中、効率性などを経て最終的に体と心の調和を目指します。(初め覚えるのが大変でしたが、アルファベット順で考えると簡単と教わりました。)
皆さんが「ピラティスの原則」(6や10)を最初から忠実に守って、実践するのは難しいでしょう。 まずは体を動かす面白さや楽しさ、難しさを感じるところからで十分です。個人的には、指導者でない限りことさら覚える必要もないと思っています。
私のセッションでは「原則」をほとんど言葉にせずに伝えています。私の理想は「自然とそうなる」ことだからです。