ピラティスの手引き
ピラティスに惹かれる理由は、人それぞれです。姿勢の改善、慢性的な不調の緩和、あるいは、静かな時間を求めて──。
その動機に優劣はありませんが、大切なのは「からだの声に耳を澄ませたい」という誠実な願いを持っていること。
このガイドは、そんなあなたの「はじめの一歩」に寄り添うためのものです。
ピラティスが気になるあなたへ
そもそもピラティスとは?
ピラティス・メソッド・アライアンス ※によると、ピラティスとは、「身体の柔軟性を高め、強化し、バランスを整えることを目的とした運動と、身体動作法である」と定義されています。
※PMA / The Pilates Method Alliance / What is Pilates?
また、考案者であるジョセフ・ピラティス氏自身が病弱な身体を克服するために様々なスポーツや治療法を研究したものがピラティスの原型と言われています。
ピラティスには「2つのアプローチ方法」と、「2つのレッスンスタイル」があります。
2つのアプローチ
マット ピラティスは、特別な器具を使わず、自体重のみで行うエクササイズです。マシン ピラティスがスプリングの補助や負荷を活かして動きを導くのに対し、マット ピラティスでは自分の身体そのものをコントロールする力が求められます。その分、最初は難しく感じることもあるかもしれませんが、道具に頼らない感覚や筋力、バランス感覚をじっくりと育てていくことができます。
エクササイズのバリエーションは豊富で、日常の動作と深く結びついたものも多く、動きの中で自分の「現在地」に気づく時間にもなります。また、マット ピラティスは動きの流れ(Flow)を大切にしており、途切れずに続く一連のエクササイズを通じて、集中力や持久力の向上にもつながります。
マシンのサポートがない分、身体への意識はより研ぎ澄まされます。どんな環境でも動ける、しなやかで芯のある身体を育てること。
それが、マットピラティスの魅力です。
マット ピラティス

マシン ピラティス
ピラティスで使用される専用マシンには、リフォーマー、キャデラック、チェア、ラダーバレルなど、いくつかの種類があります。これらの器具は、個々の身体的な特徴や目的、動きの傾向に応じて使い分けられます。
一部のマシンは、スプリングの強度や角度を細かく調整できる設計になっており、身体への負担を最小限に抑えながら安全に動作を導くことが可能です。そのため、特にピラティス初心者にとって有効なサポート手段とされています。
マシンから得られるフィードバックによって、使っている筋肉を意識しやすくなり、さまざまな方向への動きを通じて可動域の拡大や身体の安定性・柔軟性の向上が期待できます。
なお、これらの器具は一般的に「マシン」と呼ばれていますが、電源や動力を持たない構造のため、正確には「アパレイタス(Apparatus:器具・装置)」とするのが正しい呼称です。

2つのレッスン形式
複数名の参加者が同時に指導を受ける「グループレッスン」は、一般的かつ広く親しまれているスタイルです。
グループレッスンは、負荷の強度や動作の難易度に応じて、初級・中級・上級といった段階に分けられていることが多く、参加者のレベルに応じた適切な指導が行われます。
この形式の特長として、他の参加者とともに動作を行うことで、他者の姿勢や動き方を客観的に観察する機会が得られる点が挙げられます。それにより、自身との違いを把握したり、他者の優れた点を参考にしたりすることで、理解がより深まる効果が期待されます。
さらに、共通のリズムの中で動作と呼吸を調和させていく過程において、自然と周囲との一体感が生まれ、他者に呼吸を合わせる能力も養われます。
また、インストラクターが他の参加者に対して行う指導を耳にするだけでも、自分自身の身体や動作に対する新たな気づきを得る契機となり、学びをさらに深めることができます。
グループレッスン
