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​体型変化は座り方から始まる

リモートでピラティスレッスンを受けている女性

​40歳を過ぎると、「お腹だけが前に出てきた」、「便秘やガスが増えた」、「食事量を抑えても体重が落ちにくい」といった変化を感じる方が増えてきます。これらは年齢による代謝低下のせいだと考えられがちですが、医科学的には日常の姿勢、特に普段の座り方とそれに伴う呼吸の質も大きく関与していることが分かっています。

​40代から増える「お腹だけ変わった」という違和感

​座り方が骨盤と呼吸に及ぼす影響

 

猫背や足組みといった座り方が習慣化すると、骨盤は後方へ傾き、脊柱の自然なカーブが崩れます。骨盤が後傾した状態では、横隔膜が上下に十分動くことができず、呼吸は浅くなります。横隔膜は呼吸筋であると同時に、腹腔内圧の調整や自律神経の働きにも関与しており、呼吸が浅くなることで副交感神経の活動が低下しやすくなります。

誤った座り方で仕事をする50代男性

​呼吸の浅さと腸の働きの関係

 

副交感神経は腸の蠕動運動を促す重要な役割を担っています。そのため、呼吸が浅く、緊張状態が続くと、腸の動きが鈍くなり、便秘、ガスの停滞、腹部膨満感といった不調が起こりやすくなります。腸の位置が物理的に大きくずれるわけではありませんが、腹腔内圧の偏りによって内臓の動きが制限され、結果として「お腹が張る」「ぽっこりして見える」といった変化として自覚されます。また、浅い呼吸は脳幹を介した自律神経調整にも影響し、集中力の低下、疲労感、日中の眠気といった症状につながることも報告されています。姿勢の乱れは、見た目の問題にとどまらず、呼吸・腸・神経系を通じて全身のコンディションに影響する要因なのです。

正しい座り方で呼吸に集中する女性

​ピラティスのアプローチ

 

ピラティスでは、こうした状態を改善するために、筋力を「強くする」ことよりも、身体の使い方を整えることを重視しています。その中心となるのが、「下腹部を引き上げる」という行為です。

この言葉は、「お腹をへこませる」、「腹筋に力を入れる」と誤解されがちですが、ピラティスで指しているのはそうした表面的な動きではありません。下腹部を引き上げるとは、腹直筋を固めることではなく、骨盤底筋群、腹横筋、横隔膜といった深層筋が協調して働く状態をつくることを意味します。

坐骨で座り、骨盤を立てた姿勢で、息を吐くときに下腹部が内側からやさしく持ち上がるような感覚が生まれます。恥骨からみぞおちの方向へ、薄い膜が引き上げられるようなイメージです。外から見てお腹を極端にへこませる必要はなく、力みもありません。この状態では腹腔内圧が均等に保たれ、横隔膜は自然に上下し、呼吸が深まります。

呼吸が深くなることで副交感神経が働きやすくなり、腸の蠕動運動も本来のリズムを取り戻しやすくなります。ピラティスでは、「姿勢を保つために腹部を固める」ことは行いません。腹部を固めると横隔膜の動きが制限され、かえって呼吸が浅くなり、自律神経の緊張を高めてしまうためです。目指すのは、安定しているが硬くない身体です。

​日常の座り方に落とし込む3つのポイント

 

日常の座位では、
・骨盤を立てる
・足を組まず左右差をつくらない
・下腹部を軽く引き上げ、呼吸が自然に続くかを確認する

この三点を意識することで、レッスンで学ぶ身体の使い方を生活の中に落とし込むことができます。姿勢の維持が難しい場合は、椅子の背もたれと腰の間にタオルを挟み、骨盤の後傾を防ぐと無理なく続けられます。足裏が床にしっかり接地する高さの調整も重要です。

ピラティスのリモートレッスンで正しい座り方を学ぶ50代女性

​変化は内側から、そして最後に体型へ

 

姿勢と呼吸が整うと、まず腹部の張りやガスの不快感が軽減し、その後、むくみや日中の疲労感が改善していくケースが多く見られます。

体重の変化は最も遅れて現れますが、呼吸と腸の働きが整うことで代謝の基盤が安定し、結果として体型の変化につながっていきます。

南青山のナウシカピラティスでマットピラティスのパーソナルセッションを受けている40代女性

 

40代以降の体重管理は、筋量やホルモンの変化など複数の要因が関与しますが、姿勢は日常で確実に介入できる重要な要素です。
ピラティスは単なる運動ではなく、日常動作を再教育するメソッドです。
座り方を整えることは、身体の内側から環境を整え、これから先の体調と体型を支える静かで確かな土台となります。

​結局のところ身体は年齢ではなく、向き合い方で変わるのです。

​結論

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