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​静寂の建築
 

ある建築家は、静けさを設計できるかと問われ、「柱を立て、空間を残すことだ」と答えたそうです。

背骨もまた、そんな建築や設計に似ています。

塔のような頸椎。回廊のような胸椎。基礎のような腰椎。それぞれが異なる役割を持ち、私たちの内側を支えています。

背骨は、動く建築

塔の上部は背骨の頚椎部分
塔の回廊部分は背骨の胸椎部分
塔の基礎部分は背骨の腰椎部分

頸椎は、感覚と意識の塔。

小さな椎骨のひとつひとつが、空間に微細な調整を施しながら、世界を見る角度を決めていきます。

その傾きが、微かに揺れる呼吸と気分をつくります。

胸椎は、呼吸と感情の回廊。

背中に抱えたこの構造体は、剛と柔のあわいに建てられた回廊のよう。

守るべきものを守りながら、内側に風を通し、しなやかに動く余地を残しています。

腰椎は、重さを受けとめる基礎。

建築において基礎が静かであるように、私たちの軸もまた、静けさの中にあります。

揺らぎも、安定も、ここに宿ります。

背骨はあたかも、塔、回廊、基礎という三つの構造が、異なる力を引き受けながら支え合う「動く建築」です。

ピラティスとは、静けさの中に身体を建て直すということかもしれません。

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